FERRARI 375 PLUS #05
みなさま、明けましておめでとうございます、 と言うにはあまりに日が経ちすぎてしましましたが、 ようやく新年初の更新になります。
計画通り、 ゼッケンサークルをマスキング塗装で仕上げてみました。
画材店でトリコンのマスキングSPフィルムというものを見つけた ので使ってみましたが、塗り分けのシャープさはなかなかです。
ただ、切り出した形があまりにシャープに反映されるので、 サークルカッターでの作業に難儀しました。 単に扱いに慣れていないだけなのですが。
膨大な量の円を切り出して、 ようやく使用に耐えるものが4つできました。
それにしても、水玉模様のフェラーリはなかなか可愛らしいですね。
同じものを二度も…とも思ったのですが、とても高品質なので、 後々の参照として一度は使っておきたかったのです。
ゼッケンに関しては観念してキット付属の純正品を使いました。
白い部分を丁寧に切り取れば、そんなに悪くありません。
左側面の白抜きの文字も、 心の目で見ればちゃんと黄色に見えなくもないです。
高価な魔法薬が効いたのか、前面と側面は問題なく貼れました。
ただし案の定、背中のデカールはぺきぺき割れてしまいましたよ。
こんな場所にゼッケン貼ってる実車が悪いんだと悪態をつきながら 、タッチアップします。
思うように上手くいかなくても、 安い面相筆だから仕方ないと割り切ります。
素人趣味にしては及第点でしょう。
それからクリアーを四回吹いて、写真の状態です。
前作同様、ガイアカラーのExクリアーになります。
あとはじっくり寝かせて研ぎ頃を待つのみですが、 また9ヶ月も放置しないように気を付けなければいけません。
FERRARI 375 PLUS #04
たいていの日本人にとって祝うべきクリスマスとは12月24日の ことであって、それを過ぎればもう正月気分です。 いつからこうなったの?
僕はといえば、 模型製作と読書に没頭できたなかなか素晴らしい連休でした。 もちろん一人。
なんだかな。
さてさて、 写真はデカール貼付用の捨てクリアーを吹いたところです。
また埃を噛みました。ベランダを塗装ブースとしているかぎり、 理想的な塗装面は得られないことに納得するべきです。
最後に表面がつるつるになっていれば、 さしあたり問題ないのです。
早速注文してみたところ、なかなかの手作り感。 すこし不安になります。(写真左下)
フェラーリエンブレムも擦れ気味ですね。
品質はまさに日本製といった感じです。
で、いざ貼ってみたらびっくり。 ゼッケンサークルの白が透けています。
とくに背中のゼッケンがひどいことになっていますね。
もしかしてもしかして、 クリアーを吹いてみたらそこまで汚く見えないんじゃないかと思い 、一度全体に吹いてみましたが、結果はご覧のとおり。
ひどすぎますね。さすがにこのまま製作を進めても、 モチベーションが下がるばかりです。
で、結局こうなるわけです。
シンナー風呂の力で、デカールも塗装もパテも溶けていきました。
一度大失敗したんだから今度はじっくり慎重にやればいいのに、 年の瀬の魔力のせいか、早速の挽回を試みております。
気が逸っているため、 前回よりやや精度が落ちているかもしれませんが、 僕にとって模型製作は趣味なわけです。 良くも悪くもそのときの気分が製作に反映されるのは仕方のないこ とでしょう。
すこしかわいそうですが、今回375 Plusにはこういう役目を負ってもらうことにします。
冬場はやはり塗料の乾燥が遅いので、年内にできる作業はここまででしょう。
今度はゼッケンサークルをマスキング塗装で仕上げるつもりなので、ちゃんと乾燥させてからでないといろいろ問題ありです。
それに、年末は実家に帰省しなければなりませんし。
というわけで、みなさま良いお年を。
年明けにまたお会いしましょう。
FERRARI 375 PLUS #03
今回もMr.メタルプライマー改→Mr.サーフェイサー1200
二巡ほど回ったところでちょうどいい具合に落ち着いたので、 最後に1000番のペーパーで全体を研いで終わりとします。
写真ではかなり斑に見えていますが、 実際はけっこうつるつるです。
あらかじめ400番のペーパーで足付けしたにも関わらずサーフェ イサーの食いつきが悪いような気がしたのは、 やっぱりプライマーが薄かったからでしょうか。
鍋に塩胡椒を放り込むんじゃないんだから、 もうすこし精度の高い稀釈を心掛けるべきでした。
フェンダーの縁はモーターツールで薄く削ってあります。
前作よりも果敢に攻めた挙句、所々失敗していますが、 サーフェイサーの塗膜で揉み消しました。
ところで、薄々感じてはいたのですが二作目にしてようやく、 スジ彫りが太すぎることを確信しました。
1/43のスジ彫りはこの工具では厳しいようです。 次作から検討してみましょう。
相変わらず線がよろよろ曲がっている件に関しては…どうしよう。
また考えます。
ちょっと濃いめに稀釈したものを全体にしっかり吹きつけて真っ白 にしてから、薄く稀釈したもので表面をつるっと平滑にします。
と言うだけなら簡単ですが、 実際は薄い塗料を近くで吹きすぎてスジ彫りが埋まりそうになりま した。危ない危ない。
写真は二晩乾燥させてから、 噛んでしまった埃やパネルラインの縁に盛り上がった塗料を1 500番のペーパーで処理した状態です。
で、白地に赤を吹いてみた結果は、やっぱり全然違いますね。
前回よりも遥かに鮮やかな色味です。色透けおそるべし。
ちょっと埃を噛んでしまったので、乾燥後に再度ペーパー当てが必要です。
それにしても、ボディが赤くなると一気に気分が盛り上がります。
レースでとりあえず赤い車を見ると応援してしまうというイタリア人の気持ちが理解できるような。
FERRARI 375 PLUS #02
立体塗り絵じゃ物足りない、素組みじゃつまらない、 ということで、少々改造をしてみます。
脳内イメージに手先の精度が追いついていないので、 石橋をたたきながら進みます。
まずはメーター周りの作業から。
谷崎潤一郎の言うように、陰翳は大切です。
スイッチ類の取りつけ穴は、 サーフェイサーを吹いて形を整えてから空ける予定です。
メーターデカールも調達しなきゃ。
また、キットではウィンドウスクリーン固定金具の脇に、 バキュームパーツを差し込むための溝が溪谷のように横たわってい ますが、これではボディラインの流れが妨げられてしまうので、 エポキシパテで埋めておきます。
お次はフロントグリル。
キットの繊細なモールドを綺麗に塗り分けてみたらどうなるだろう 、という好奇心を抑えて、エッチングへの置き換えを試みます。
モールドを削り、さらに奥まで掘り下げてから、0. 3mmのプラバンを内法に沿って瞬間接着剤で貼り付けます。
その後、震える手で慎重に縁を削り、0. 5mm程度の段差をつくりました。
手が滑って下顎部分を削ってしまいましたが、 サーフェイサーを吹いてから修正しましょう。
エッチングはタメオのラージ・パターン・ グリルがちょうど良さそうです。
金属用ニッパーを持ち合わせていなかったので、 カッターとノミとヤスリで強引に外形を整え、 プライヤーでぐにぐに曲げて375 PLUSのグリルらしくします。
この作業で、 長く愛用していた三木章のパワーグリップ彫刻刀が刃毀れしてしま いました。
悲しむと同時に、 無茶な使いかたをした工具に申し訳なく思います。
適材適所でないと、人も工具もダメになります。
ボディに当ててみた様子です。
汎用パーツを使ったにしては、なかなか悪くない雰囲気。
三次元的に張りだしたこのグリルがあってこその375 PLUSです。
すこし緩すぎるような気もしますが、 塗膜がどれくらいの厚みになるか予想できないので、 現時点ではこれで良しとします。
最終的に、かっこよく見えるように調整しましょう。
さてさて、もう12月。年内にどこまでいけるでしょうか。
FERRARI 375 PLUS #01
みなさま、ごきげんよう。
芸術の秋もいつのまにか終わりを迎えつつあります。
やばいやばいと重い腰をあげて、第二作に取り掛かりました。
今回のお題は1954年のル・マン24時間レースを制した、 とても有名なマシンです。
キットは仏STARTER社のGOUPILLE氏のお仕事。 なかなか繊細です。
ほとんどのパーツがボディと一体成型されているので、 このまま飾っておいても素敵だなと思いますが、 作らないことには上手くなりません。
コレクションを増やしつつ、 しっかり腕を磨くのが当面の目標です。
パーツ構成はとてもシンプルで、 仮組にそこまで苦労はなさそうですが、 小物にいろいろと難点もあります。
まずデカールの版ズレがひどく、正直あまり使いたくありません。
ナンバープレートがあったらしい箇所も切り抜かれています。 eBayの出品者は未組立だと言っていたのに…。
43キットはあくまで「素材」だと考えて、 追々解決していきましょう。
ちなみにSTARTERのこの車種、かなり生産数が多いらしく、 ネット上では完成品画像をたくさん見つけることができます。
欧米における模型文化の懐の深さを見るようで微笑ましくもありま すが、気晴らしの立体塗り絵にしては、少しばかり高価ですよね。
というわけで、 初心者がまずは作るべきだというSTARTERのキットを、 真面目な初心者として、真剣に作ってみたいと思います。
で、今回の強い味方。伊BBR社の小物群です。
じつは以前、375 PLUSと同時期にeBayでBBRの121 LMを購入したので すが、 どういうわけかホイールだけ同梱されていないという事件がありま した。
ちょうどイタリアの出品者でしたし、 どうにかしてくれと頼んでみたところ、ホイールに加えてタイヤ、 給油キャップ、 ライト等々が詰まったパッケージを送ってきたという…。
イタリア人はどういう商売してるんだ? それとも謝罪という概念が発達しすぎているのか?
とにかく必要なのはホイールだけでしたし、 他の小物パーツはありがたく流用させていただくことにします。
さて、前口上はこれくらいにして、 さっそく製作をはじめましょう。
別パーツ化する予定のボンネットベルトとサイドミラーを削り落と し、パネルラインとスリットを深く彫り直し、 大きな気泡をポリパテで埋め、 全体を400番のペーパーで擦っておきます。
艶消しのさらさらです。
特徴的なリベットは、今回は存置します。
いずれ腕が上がったら埋め込みにも挑戦したいと思いますが、 さすがに二作目で試すのは蛮勇です。
リアフードのヒンジもボディと同色ですし、 作り直しても精度が上がるわけではないので、存置します。
古いキットのためボディの収縮があったらしく、 底板をだいぶ削ってなんとか収めました。
続いて車高調整をします。
ホイールは繊細な編込みが素敵な純正品。 タイヤはモールドと質感が素敵なBBR製です。
STARTERのキットはなかなか優美な造形ですが、 実車の醸しだす獰猛さに欠ける気がします。
全体的に車高も下げています。
この選択が本当に正しいのか、いまいち確信が持てません。
車高関係はすこしの変化で全体の印象が変わってしまうので、 なんとも難しいです。
腕だけでなく、感性も養う必要があると痛感します。
いずれにしろ、 タイヤはもうすこし外側に出したほうがいいかもしれません。
接着する段階で再度調整しようと思います。
さて、 次回は一番ハードルが高そうなメーター周りとフロントグリルの工 作です。
FERRARI 290 MM #08
たいへん長らくお待たせいたしました。
完成です。
かれこれ3年ものあいだ未完成のまま机の横に据えつけ、 病めるときも健やかなるときも変わりなく部屋の風景の一部だった 290MMがようやく完成した様は、感激に堪えません。
左右非対称であることを除けば、 全体的なプロポーションやパッケージはなかなか良く、 実車よりもやや丸みのあるボディが繊細な小物パーツと相まって、 フランス的華やかさ(日本人的な色眼鏡ですが)を醸しています。
仮組みなんてしてないだろと疑うほど雑な仕上げのキットがこのよ うに素敵な佇まいに変わるとは…ドーン氏は天才なのか?
ひとしきり浮かれた後は反省会です。
全般的な技術の低さはもちろんですが、 まずボディの表面処理が甘いです。
とくにクリアー塗膜の研ぎ出しが完成後の印象をかなり変えること が分かりました。
ペーパーでエッジをシャープに研ぐこと。 塗膜のうねりをきっちり消すこと。
そして鏡面仕上げになるまでコンパウンドで磨くこと。
肝に銘じます。
次に、小物パーツの接着が下手です。
エポキシ接着剤がべちょっとはみ出してしまって、 見苦しいことになってしまいました。
エナメル溶剤を含ませた綿棒で丁寧に拭き取ってみたものの、 限界はありますね。
腕を磨きます。
塗装時の色選択も重要でしょうか。
シート、エグゾーストパイプ、 ステアリング等はもうすこしそれぞれの素材に合った色を選ぶべき だったかもしれません。 もしくはドライブラシ等の技法を試すべきだったかも。この時代、 信じられないくらい多くの塗料と技法が流通しています。
研究します。
FERRARI 290 MM #07
完成が見えてきたせいか、ちゃんと手が動いております。
とりあえずインテリアを仕上げました。
シートはMr.カラーのウッドブラウンを吹いてみました。 あまり皮革に見えませんが、これもまた次回へ。
シフトノブ基部のみ、すこし手を入れています。 キットの底板にモールドされていた基部はあまりにあまりだったの で、実車写真を参考にプラ板を切ったり貼ったりして、 それらしい物を作りました。その上にシフトゲートを接着して、 実車同様にすこし曲げたノブを差し込んで完成。 稚拙な工作ですが、とりあえず密度が上がりました。
メーターパネルのエッチングは良い雰囲気ですが、 そもそも実写とぜんぜん違います。
ここらへんに拘るなら、 塗装前にボディ自体を加工しておくべきでした。
暗くて見えづらいですが、 シート脇のフレームも黒く塗って接着してあります。 実はこのパーツ、たいへん精度が低くて仮組みに苦労しました。 腕があれば自作したのですが、 そんなことをしていたら完成は遠のいていたでしょう。
43キット最大の特徴とも言えるのが、 バキュームフォームした塩ビ版を切り出して接着するライトカバー でしょうか。以前から難しそうだとは思っていたのですが、 想像通りの難しさでした。
塩ビをハサミでざっくり切り出し、 ヤスリと600番のペーパーで慎重に整形します。 それをマスキングテープを裏返しに巻き付けた爪楊枝に張り付け、 ボディに当てて合わせを見ます。 この作業を何度も繰り返して精度を上げていくのですが、 眼と肩と腰と精神への負担が大きいこと。 親切なルネサンスはバキュームパーツを2セット用意してくれてい るのですが、 一度失敗したらもう立ち直れないんじゃないかというくらい疲れま した。というわけで、 片側1時間程度の努力で妥協することにしました。 たぶん追い込めば追い込むほど、精度が上がっていくのでしょう。 鍛えるべきは腕ではなく精神力ですね。
最後に2000番のペーパーで切削面を綺麗にして、 切り出し作業は終了です。
お次の難関は接着作業。 細切りしたマスキングテープでカバーをボディに固定してから、 エポキシ接着剤を接合部に少量盛りつけます。 接着剤が隙間に浸透していくので、 エナメル溶剤を染み込ませた綿棒で余分を拭き取れば、 工程としては充分。 接着剤が乾いたらテープを外して残りの部分も同様に。
この方法はプロフィニッシャー・ 北澤志朗氏のウェブサイトで紹介されていたもので、 とても参考になります。
反省としては、切り出し作業の精度が低かったため、 カバーとボディにわずかな隙間が生じてしまい、 そこから接着剤が裏側に回り込んでしまったことです。
290MMが目に涙を溜めているように見えます。 技術の低さを責められているのでしょうか。
他の作業としては、フロントグリルは特に問題なく接着。 ボンネット上部のダクトには、 切り出したプラ板を黒く塗って嵌め込みました。 実車同様にメッシュを使えば見映え良くなったのでしょうが、 在庫と技術の不足により断念しました。
いよいよ完成まであとすこし。
最後まで気を抜かずに走ります。